久し振りに傲慢な歯科医に出会った。
「うちは本気で治療したいと思う方の歯科で、取り敢えず治療してくれと言う方のための歯科ではありません。
そういう方はどうぞ他に行って下さい、ということです。そういう歯科はその辺に一杯いますから」
治療が終わった後、院長がそうのたまわった。
この歯科、以前から予防治療に力を入れていることでよく知られている歯科(福岡市南区井尻)だが、
この数年、ますます予防歯科に力を入れ出し、「治療に急を要する歯があれば、応急処置をします。
そうでなければ、お口の精密検査を優先」するという。
精密検査とはレントゲン検査、口の写真撮影、唾液検査等である。
もちろん、それらは余分な金がかかる。
因みに治療唾液検査は3,500円。
生涯にわたって歯を大事にするためには虫歯にならないようにすることが大事です。
この一見理にかなった理論で予防治療を患者に勧めているわけだが、その背景にあるのは少子化と供給過多の歯科医。
現在、流行っていても、将来患者数が減るのは火を見るよりも明らかで、いまのうちに手を打たなければと考えているわけだ。
さらに言うなら、保険診療では儲からない。自由診療を増やした方がいい。
最近、どこの歯科でもインプラントを勧めるのは自由診療で、治療費を自由に決められるからだ。
そのため本来、従来技術で対応できるものでもインプラントにさせたがる。
実はこの歯科に5年ほど前から通っているが3年前に一度中断して今回は久し振りにまた行き始めた。
再度行き始めた理由は以前そこで治療した歯の隣が少し欠けたからだった。
それまで月に一度、歯の健康チェックにも結構熱心に行っていたが、中断した理由は次から次に悪いところが
出てくるのが一つ。
もう一つは治療しながらしきりにインプラントを勧められるのが嫌になったからだ。
その時、担当の歯科衛生士が最初の頃、スタッフがチームごとに担当が決まっており、自分は営業みたいな
ものなんです、と話していたことを思い出した。
歯科で営業ってなんだろうと思っていたが、要は患者にできるだけ金を使わせることだ。
だからインプラントを事あるごとに勧めるわけだ。
院長も物腰は柔らかく、歯科衛生士もやさしく微笑みながらいうものだから、ほとんどの患者はほぼ言うなりになるだろう。
実際、私自身からして最初は院長に好感を持っていた。
技術もしっかりしていたし。
ただ、そうしたやり方が嫌で以後通院するのを止めて3年。
その間、歯は問題なかった。
変な話、歯科に行くのをやめて、歯にそれほど問題がなくなったのだ。
この歯科、確かに患者も多い。しかし、それ以上にスタッフ数も多いから見た目以上に維持するのは大変だろうと思う。
だからなのかやたら自由診療を勧める。
「次回は唾液検査をしますから、3,500円用意しておいてください」
2度めの治療の時いきなり歯科衛生士から言われた。
今回はこちらに時間的余裕がなく、治療を急いでいたこともあり、唾液検査は拒否した。
その結果が冒頭の対応だ。
院長の見せかけの仮面が取れたということだろう。
もちろん、こちらもこんな傲慢な歯科に二度と行こうとは思わない。